高知市のほぼ中央で浦戸湾の北方に位置する徳谷という地域で栽培されるトマトは甘みが抜群で、フルーツトマトの先駆的存在として今ではその名声が日本全国に知れ渡り、「フルーツトマト」といえば「徳谷トマト」といわれるくらい有名になりました。
日本一の究極のフルーツトマト「徳谷トマト」が、どのようにして生まれたのか、非常に興味深いので紹介したいと思います。
「徳谷トマト」が栽培されている徳谷地域は、台風が襲来すると海水につかりやすい地区です。従って、海水の塩分が土壌にしみこみ、土壌が酸性となります。通常、塩害地域には農作物は育たないといわれて、トマト栽培には不利な条件と思われていましたが、実は塩害で酸性となった土壌であるからこそ日本一のトマトが生まれる最適の条件となり、昭和40年代から徳谷の地にトマト栽培が始ま
りました。
「徳谷トマト」の生産者は十数人いますが、生産者のハウスに行くと、その栽培方法をみて驚嘆します。トマトの幹や土の状態を見ると極限の状態で栽培されていることが一目でわかります。木を見ると樹勢が弱く、葉がしなびていて、まるで枯れる寸前の木のような状態です。そのような状態の木に少ない真っ赤なトマトが間隔をあけてついています。
この状態はほとんど水を散布しないためで、生産者によっては3ヶ月以上もトマトの木に一切水をやりません。水分不足のため樹勢が弱くなり、枯れる前に何とか子孫を残そうとする植物の本能にもにた現象が働き、木が自身のもつ栄養素をできるだけ果実に行き渡るようにするのだといわれています。
そのため果実に十分な栄養素が行き渡り、小玉で濃厚な味わいのトマトが育ちます。他のフルーツトマトとは一味も二味も違い、食味も食感はしっかりしていますが、中はやわらかくとってもジューシーです。「トマト」というよりはまさに「フルーツ」として味わえる逸品です。
この常識では考えられない栽培法は、生産者の高い技術によってなしえた業だといえます。徳谷の生産者は、誰も考えつかなかった不毛といわれた土壌を逆手にとって甘みが抜群のフルーツトマトの栽培に成功しました。そして、今日では日本一のフルーツトマトとして全国にその名が知れ渡るようになりました。
徳谷トマトは独自の栽培技術と長年の経験が生かされて栽培されますので、生産者ごとに、それぞれ味が異なります。徳谷トマトの特徴は、幹から十分養分を吸収しますので外見は真っ赤で、中にはほとんど隙間がありません。その美味しさと希少性で高知県の市場では大変人気があり、なかなか手に入らないトマトです。
市場関係者の間では、「幻のトマト」ともいわれています。塩害で小さい玉のトマトしかできず、当初はクズトマト扱いでしたが、小粒でも中身は濃厚で、果実が堅く日持ちがして、甘くて味もよかったことから市場関係者が注目し、口コミで徐々に人気がでました。高級品の価格は1キロ当たり1万円もします。
スーパーなどでよく見かける「フルーツトマト」は糖度8~10度程度が多いようですが、徳谷トマトはほとんどが10度以上、なかでも優秀なものは果物が一番おいしい糖度とされる13度にまで達するそうです。生産農家はわずかに11軒余りで、人気のある生産者の徳谷トマトは、東京の高級果物店で一個数百円の値が付くことも珍しくありません。生産者一人ひとりが職人として競いあって「徳谷」ブランドを維持しています。
これまで遠方ではなかなか手に入りにくかった徳谷トマトでしたが、最近ではネット通販の普及で買いやすくなりました。また、有名な高知の日曜市にも、徳谷トマトを扱っている露店があります。一度食べるとその味が忘れられず、多くの人が再度買い求めるそうです。トマトというと夏のイメージが強いですが、このトマトの収穫は夏前までで、4月頃までに最も美味しい季節を迎えます。
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