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人間ドック

 1984年に人間ドック学会が人間ドック受診結果の全国集計を始めましたが、当初、大きかった健康度の地域差が次第に縮小してきました。この傾向は、かつて健康度の良いと言われていた地域が次第に悪化の傾向をたどり,地域特性が失われてしまったことによるといわれています。

 その結果、日本人の健康度は年々悪くなり,健常者が人間ドック受診者全体に占める割合は1984年の29.8%から,2008年には9.6%と20.2%も減ってしまいました。

 今回の調査は、同学会などが昨年2008年に指定した全国の病院や施設約700ヵ所で人間ドックを受診した約295万人(男性185万人、女性110万人)を対象に実施しました。

 今回の調査では、生活習慣に関係の深い6項目、すなわち、肥満,耐糖能異常,高血圧,高コレステロール,高中性脂肪,肝機能異常の中で高中性脂肪を除いては,いずれも異常頻度の増加が認められました。

 同学会は調査結果を分析・考察し、健康度悪化の理由としては、次の4項目をあげています。

●厳格な基準値の採用

 人間ドック学会の基準値は、専門学会のガイドラインを参考にしたため、より厳格になっています。特に肥満度の判定は従来体格指数(BMI)のみでしたが、メタボリックシンドロームの選別のために腹囲径を採用したことが肥満者の増加原因の一つになっています。しかし,高中性脂肪を除き,高血圧,高コレステロール,高血糖,肝機能異常の4項目で総て異常頻度が増えており,悪化の原因が単一でないことを示しています。

●人間ドック受診者の高齢化

 人間ドックの普及に伴い、全国調査によれば反復受診者の割合は全受診者の70~80%を占めるようになりました。その結果、人間ドック受診者の平均年齢が40歳代から50歳代へと移行し、今回は30歳代が減少、60歳代以上が増加しており、異常頻度の総計に影響を及ぼしています。加齢と共に健常者が減り、異常者が増加する傾向は当然のことです。しかし、各年代別の比較では、今回はC(要経過観察)、D1(要医療)共に総ての年代で過去最悪であり、加齢の影響のみではないことが明らかです。

●社会環境の悪化

 厳しい経済環境の中での過重労働、サラリーマンのリストラや出向・単身赴任、煩わしい人間関係による心身状態の悪化など、社会環境の悪化がストレスを生み出すことが考えられます。このような社会環境の変化は、心のバランスを失い,ストレスがうつ病増加の原因となっていると共に,生活習慣を悪化させる引き金になっています。

 健康度悪化最大の理由はメタボリックシンドロームの源流である生活環境の悪化であると考えられます。わが国では,平成10年以来,自殺死亡率(人口10万人対)が欧米先進国に比べて突出して年間3万人前後の状態であり,近年は増加傾向にあります。

 厳しい生活環境のストレスに適応出来ない人のうち内向的性格の人は次第に不眠,倦怠感,食欲不振が続き,うつ病へと発展し,外向的性格の人は,体調に変化が無く,ストレス解消として特に夜の過食・過飲の習慣が続き,結果として運動不足となり,メタボリックシンドロームから動脈硬化に基づく生活習慣病に発展するといわれています。

●食習慣の欧米化と運動不足

 ファーストフード店やコンビニエンス・ストアの普及により,手づくりの家庭料理を作る頻度が減少し、和食中心から,洋食や中華風の料理など嗜好が多様化し,食物の中に占める脂肪の割合が25%を越すようになり,野菜の摂取量が少なくなりました。また,交通機関の発達や車の保有台数の増加が歩行量を減らし,疲労による負担と共に,運動不足を来しています。

 今回の人間ドック全国集計結果は,予想に反して健康度が最悪の状態を示しましたが、その主要因として生活環境の悪化に基づくストレスが異常者の増加につながっていることが明らかにされ、生活習慣病は生活環境病であると認識し,その対策として,特にメタボ該当者に対する心体両面にわたる「対面式指導」の実施とさらなる普及の必要性が示されました。

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