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デスボンド

 多数の債券を束ね、計算上のリスクを分散させた上で新しい金融商品に仕立て直すことを「証券化」と言います。これは「サブプライムローンの証券化」でもお馴染みの手法です。

 これと同じ手法で証券化された金融商品があり、今回の金融危機の影響もさほど受けずに米金融市場でじわり広がっています。その名も「デスボンド」。日本では「死亡債」と訳されます。

 「ライフ・セトルメント」と言って生命保険を第三者に転売することが可能なアメリカでは、金融機関がまだ存命中の人の生命保険を買い取り、それを数千人から数万人の規模で集めて証券化した金融商品が「デスボンド」です。

 自分の生命保険を売却する人、つまり生命保険の加入者からみたメリットは、生命保険を現金化することで生きているうちに多額の金額を手にすることができるという点です。

 通常、生命保険を途中解約しますと、割引率が大きいため受け取る金額はかなり少なくなってしまいますが、金融機関がその生命保険を買い取る場合には、例えば70歳の人の1億円の生命保険を買い取る場合には保険金額の3割の3000万円、75歳なら4割の4000万円という額で買い取ることになります。死亡した際の保険金は金融機関が受け取り、デスボンドを購入した投資家に分配されます。

 住宅価格の値上がりが続くことを前提にしたサブプライムローンの証券化ビジネスは当然のごとく破たんしましたが、死亡率というのはそれほど大きな変動をしないため、投資家にとりましては低リスクで収益が安定している金融商品といわれます。

 身寄りがない、あるいは子供が成長し大きな保健が必要なくなったなどの理由で、死後に支払われるお金よりも生前に現金を手にしたいと思う人が自身の生命保険を転売するケースがあります。また、昨今の景気悪化で経済的な困窮のために自身の生命保険を売却するというケースもあるそうです。

 ちなみに、「低リスク」という言葉はサブプライムローンの証券化の際も使われましたが、保険会社が保険金の支払いを拒否するケースが増えた場合にどうなのかという懸念も残ります。

 人の死を担保にするというデスボンドに対して、さすがのアメリカでも多くの批判があるようです。

 また、デスボンドの性格上、金融機関は生命保険の契約者が早いうちに死亡すれば短い間に支払い額以上の満額の保険金額を受け取ることになります。作為として死亡率を人為的に操作するようなこと(例えば大量殺人)はないかもしれませんが、早期に死亡した方が収益にプラス貢献するということはそこに暗黙の期待が存在します。

 かのタイタニック号は、巨額の保険金を受け取るために沈められた(そういうふうに仕向けられた)という風聞があったと言われますが、このデスボンドも倫理的・道義的に問題があるというのが一般的な感覚ではないでしょうか。ちなみに日本では生命保険の第三者への転売は無効とされています。
 

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