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齢者の水分摂取(1)

 高齢者になると、筋肉や皮下組織などの細胞内水分が減り、体の恒常性を保つ機能が低下するため、環境や病気の影響を受けやすくなります。体内の水分や電解質のバランスを保ちにくくなることにより、容易に脱水をきたすようになります。

 脱水とは、体の水分と電解質が減少する状態をいいます。私たちの体の水分量は体重の60~70%で、血液や筋肉の中に蓄えられています。高齢者では、基礎代謝量が減少し、代謝によって生成される水分が減少します。細胞内水分も少なくなり、筋肉・皮下組織などの備蓄水分量が減少します。
 
 加齢とともに口渇中枢の感受性が低下し、のどの渇きを感じにくくなるため、水分補給が減少し、高齢者はちょっとしたことで脱水状態になります。軽度の脱水では症状が明らかになりにくいのも高齢者の特徴です。脱水を予防するためには、日常の生活の中で適度の水分摂取を心がけることが大切です。

<水分の排出と摂取>

 人が1日に排出する水分は、尿1,000~1,500mL、便900mL、生理的に不感蒸拙で失われる水分100mLです。したがって、収支を合わせるためには、排出される量を摂取しなければなりません。

 1日の摂取量の内訳としては、食物中の水1,000mLと体内での代謝水200mLとして、飲料水を800~1,300mL取らなければなりません。大雑把に言うと、1日の水分摂取量は1,000mL(コップ3~4杯 )が目安となります。

 以上は通常の水分の摂取量であり、実際の摂取量を決めるときには、下痢や嘔吐、発熱による発汗、運動量の増加に伴う通常以上の発汗などの要因を考慮に入れなければなりません。

<脱水の及ぼす影響>

 脱水状態になると、元気がなくなり、発熱し、皮膚が乾燥します。発汗量が減り、尿の排出量も少なくなります。血液量と血圧を維持するために水分が細胞内から血流へ移動しますので、体の組織や細胞の水分が減少して機能が低下します。

 通常、水分が体重の10%喪失しますと循環不全を、15%の喪失で意識障害を来します。重度の脱水では、脳の神経細胞が特に影響を受けやすく、ときに昏睡状態となります。脱水状態に陥ると一気に体力が低下し、場合によっては生命を脅かすこともあります。

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