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2010年4月

数字の「三」

 数字の「三」は、古今東西を問わず神聖な数字とされてきました。中国の陰陽道では陽数と言われる奇数の中でも、天・地・人を表わす「三」は特に縁起の良い数字とされてきました。

 キリスト教では「三位一体」、仏教でも欲界・色界・無色界を表わす「三界」や、法身・報身・応身を表わす「三身」など、「三」は特別な数字として使われています。また、スポーツの世界では心・技・体の「三徳」が必要とされ、元気・やる気・根気の「三気」も必要で、雑念・妄念・邪念の「三念」を排し、病気をしない・怪我をしない・気にしないのいわゆる「三しない」も大切です。

 「御三家」や「三三九度」、「三種の神器」など、「三」を使った日本語の用例もたくさんあり、ことわざには「石の上にも三年」「三度目の正直」「三人寄れば文殊の知恵」などとあります。

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百聞は一見に如かず

 中国の漢書にあります「百聞不如一見」は誰もが知っている「百聞は一見に如かず」という格言です。人から何度も聞くよりも、一度実際に自分の目で見るほうが素早く正確に理解できるということを言っていますが、この言葉には続きがあります。

 「百聞不如一見、百見不如一考、百考不如一行」

 一見することで表面上は事実を捉えたようでありましても、深い部分では理解していないケースが多々あります。漠然と見ただけでは本当の意味での理解は難しく、そのことについて考えるてみることが必要であるとしています。

 さらに、いくら考えても行動に移さなければ何事も成さず、行動することによって知りえる事も多々あり、行動によって初めて価値を生ずるというところまで言及しています。

 「案ずるより産むが易し」という言葉もありますが、考えと実践とでは大きく違ったというのもよくある話です。百考して効率的かつ効果的なやり方で行動に移すというのが最も理想的で、考えてばかりでは前に進まないばかりか害になる可能性さえあります。

 「・・百見不如一考、百考不如一行」の言葉は 正しく理解し、十分に考えをめぐらせ、その上で行動してみることが重要であるということを教えてくれます。

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水の惑星

 「水の惑星」とも呼ばれる地球は、表面の7割が海水で覆われ、残り3割の陸地もその10%は氷です。

 地球を覆う大量の水のうち97.5%は海水で、淡水は2.5%未満。淡水の7割は氷河・氷山として固定されており、残り3割のうち9割は地下水で、飲み水として人類が直接採取できる河川・湖沼などの淡水は地球にある水全体のわずか0.01%という少なさです。

 水資源が豊富にあると思われている地球ではありますが、世界には水の格差が厳然として存在します。

 1人が1年間に必要とする水の量は約4千立法メートルとされていますが、水資源が豊富なカナダでは1人が年間に9万立方メートルの水を使える一方で、中東などでは平均で1人あたり年間1千立方メートル程度の水しか確保できていません。また、世界一の人口を抱える中国は、急速な工業化で水の使用量が急増しており、上下水道の整備が急務となっています。

 ちなみに、先進国を除く多くの地域では上下水道が整備されておらず、しかも衛生環境が悪いため、世界の8人に1人は安全な水を飲めない環境にあるとされており、国連は2025年には世界の人口の3分の2が水不足に直面すると予想しています。
 

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グレープフルーツ

 別名アメリカンフルーツと言われるほどアメリカ人が大好物の果物「グレープフルーツ」。今では1年中出回っていますが、今が旬で4~6月が一番美味しい時期となります。数個集まってブドウの房のように実ることからこの名がついたようです。

 日本には昭和の初期に輸入が始まり、当初は高級フルーツとしてもてはやされていましたが、1971年にグレープフルーツの輸入が自由化され、一気に大衆化されて一般家庭の食卓にのぼるようになりました。

 黄白色をした果肉の「ホワイト種」が一般的ですが、近年存在感が高まっているのがピンク色の「ルビー種」、甘みが比較的強く、酸味とほろ苦さが売りのホワイト種とはまた一味違った風味があります。

 このグレープフルーツ、半分食べるだけで1日に必要なビタミンCを摂取できるのがうれしい点で、疲労・ストレスからの回復や風邪・がん予防に効果があるとされています。

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食欲不振

 空腹感を覚えないうちに、習慣で食事をしている人がいますが、不自然な食事をしていると、体の異常を来します。食べる意欲がなくなり、実際に食べる量も減ります。この状態が続けば体重の減少を引き起こします。
 
 さまざまな身体疾患により食欲減退・体重減少が起こります。病気でなくても強い不安、緊張を覚えるときにも食欲は減ります。うつ病など種々の精神疾患でも食欲が減少します。

 食欲をコントロールしているのは、脳の外側視床下部にある摂食中枢と腹内側核にある満腹中枢です。この2つの中枢のバランスによって、食欲が調節されていると考えられています。

 これらの中枢に影響を与えるのは、消化器官の化学物質をキャッチする受容器や消化管の内容物の量や消化管運動をキャッチする機械的受容器などから発せられる神経情報、血液中のブドウ糖などの化学情報です。また、大脳の感覚中枢も関係しています。

 通常、食欲不振は、各種の病気に伴って起こる全身症状のひとつです。食欲不振の原因にはいろんなものがあります。胃・腸・すい臓の病気、肝臓・胆道の病気、神経性食欲不振症(拒食症・青春期やせ症)などによる食欲不振の場合には精査・治療を要します。しかし、カゼ、二日酔い、発熱、暴飲暴食、脂っこいものの食べ過ぎなどによる一時的な食欲不振で、余り心配する必要がありません。
 
 多くの食欲不振は、不健康な、偏った日常生活に原因があります。すなわち、運動や活動量の不足、食生活が偏っている、ストレスや精神的悩み等に拠ることが多いようです。このような食欲不振は病気ではありませんが、長く続くと、病気を引き起こしますので注意が必要です。

 精神疾患の場合は、かなり特異的な食欲不振で、神経性無食欲症では、食欲は正常もしくは亢進しているにも関わらず、体重増加を嫌悪し、やせるために食事を拒みます。うつ病では、食欲が低下していなくとも、「病気だから食べられるはずがない」などの妄想に基づいて食事を拒否することがあります。統合失調症では、「食べるな」という幻聴が聞こえたり、被害妄想により「食べ物に毒が入っている」と考えて食事を拒むことがあります。

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カラス

カラスが早朝からかまびすしく鳴くことは昔も今も同じだったようですが、そのカラスは熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)のお使いでもあります。

 昔は熊野三山ので配布される神札に約束や契約を書いて起請文(誓紙)としましたが、嘘を起請したり起請文の約束を破ると熊野の神使であるカラスが三羽死に地獄に堕ちると信じられていました。

 また、花街の女性たちが、年季があけたら夫婦になることを誓紙に書いて男性(原則として一人)に渡せば、その女性はいずれその男性のところへ嫁ぐことになります。

 高杉晋作の作として知られる都々逸(下記)にはそんな時代的背景があります。

 「三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい」

 この世あの世の全てのカラスを殺してしまって(あなたが誰かと交わした約束を反故にして)、そうすれば明け方のまどろみの静寂を破るカラスの鳴き声も消えてしまうから、何も気にせずあなたと朝まで一緒にこうしていたい。


 恋の歌としては下記も鮮烈な印象を残します。

 「やは肌のあつき血潮にふれも見で さびしからずや道を説く君」

 この歌を含めて「みだれ髪」が発表されたのが日露開戦の数年前で、当時の道徳観からみて到底受け入れられるものではありませんでした。「猥行醜態を記したる所多し人心に害あり世教に毒あるもの」と非難されましたが、一方で与謝野晶子の歌は多くの読者を魅了しました。この歌の鮮烈なインパクトは今も変わりません。

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オシャカ

 よく駄目になってしまったり物事に失敗した事を「お釈迦になる」と言いますが、この語源にはいくつかの説があります。

 もちろんこの場合の「お釈迦」とは、作り損ねた不良品、使いものにならなくなったものを指します。由来としては、阿弥陀仏の鋳物を注文して仕上がったものをよく見ると顔がお釈迦様の顔だったことから、それ以来「お釈迦」は不良品を指すようになったという説。

 もう一つの説は、「ひ」と「し」が曖昧な江戸言葉に由来しており、鋳物職人が火が強くて失敗してしまった時に「火が強かった(しがつよかった)」と言ったことから、「四月八日(釈迦の誕生日)」に掛けて「お釈迦になる」という表現が生まれたというものです。

 また、往生際に阿弥陀仏の名を唱えることから派生して、物事が駄目になることを「お陀仏」と言いますが、同じような連想から派生した言葉との説明もあります。

 いずれもおもしろい説ですが、最初の二つは話しとしてはやや出来過ぎの感がしないでもありません。

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タケノコ

 春の味覚といえば「筍」と書いて「タケノコ」。よく「朝掘りタケノコ」と
言われますが、その新鮮なタケノコはまた格別です。焼いて食べるのも良し、サッと茹であげて食べやすい大きさにスライスしてワサビ醤油で食べるのも良しです。

 そのタケノコ、3月中旬頃から九州産が出回り始め、今の時期は静岡産が主力となっています。そして、4月中旬以降は千葉、茨城、栃木など産地が徐々に北上していきます。

 栄養成分としては、豊富なたんぱく質の他、ビタミンB1、B2、ミネラルを含み、食物繊維が豊富で便秘や大腸がんなどの予防やコレステロールの吸収の抑制にも効果的だと言われています。

 ちなみに、竹の成長はとても早く、タケノコとして美味しく食べられる時期は非常に短いため、漢字の「筍」は10日間を意味する「旬」に由来するそうです。

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ア ジ

 「鯵」と書いてアジ。「たかがアジ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この時期の新鮮なアジの刺し身はまた格別です。

 新井白石はその美味しさについて「アジとは味なり、その美なるをいう」とも言っていますが、特に3月頃から味が良くなるということから、「魚」に「参」という字が付いているとも聞きます。

 たたきで食べる場合が多いようですが、塩焼き、煮付け、揚げ物、そして干物にしても実に美味しいです。ちなみに、干物にすると生より栄養的に良くなり、生アジだと100g中に蛋白質20mg、脂肪27mg程度ですが、干物にすると蛋白質43mg、脂肪59mgといずれも倍以上に増加するそうです。また、ビタミンAを大量に含んでおり、目を健やかにする働きもあるそうです。

 スーパーなどの店頭で選ぶ際は、ふっくらして脂肪分が多いのが美味。ただ、脂が多いため傷みやすく、鮮度の良いものは目に黒い光沢があります。

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将来なりたい職業

 ランドセルなどの合成皮革を手がけるクラレが新入学の児童を対象に「将来なりたい職業」を聞いたアンケート調査(下記※カッコは前年順位)を発表しました。男の子は「スポーツ選手」、女の子は「お菓子屋」が不動の1位となっています。


 <男の子>            <女の子>
1位 スポーツ選手 (1)   1位 お菓子屋  (1)
2位 警察官    (3)    2位 花屋    (2)
3位 運転手・運転士(4)    3位 芸能人   (3)
4位 消防士    (5)    4位 教員    (5)
5位 職人     (2)     5位 看護師   (4)


 ちなみに、男の子の親が就かせたい職業では「公務員」が返り咲きの首位で、以下「スポーツ選手」「医師」「会社員」と続きます。一方、女の子の親が就かせたい職業は「看護師」が13年連続のトップで、以下「公務員」「お菓子屋」「教員」と続きます。

 いずれにしましても、子供達はなりたいものになれるたくさんの可能性を持っており、そのこと自体すばらしいことです。

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江戸の「羽衣の松伝説」

 羽衣の松伝説 とは、天女が水浴中に羽衣を盗まれて天に帰れず、人 妻となって暮すうち、羽衣を探し出して昇天するという伝説で、駿河国三保 松原(有度浜)、近江国伊香小江(いかごのおえ)、丹後国比治山を始め、 全国各地に伝わりますが、やはり、一番有名なのは、三保松原に伝わる羽衣 伝説ですね。これらの伝説は、広義に「白鳥処女説話」と呼ばれまして、 「白鳥などの動物が若い女性の形であらわれ、人間の男性がその衣を奪って 強制的に妻としますが、女性はトンチや忍耐により、衣をとり返し、動物界 に復帰する」と言う伝説で、世界先途に分布しています。

 そして、日本の三保松原に伝わる伝説ですが、この伝説の伯梁さんは、紳士的で羽衣を取られて嘆き悲しむ天人 を見て、いたたまれなくなり、天上の舞を見せてくれる事を条件に、羽衣を 返します。喜んだ天人は、優雅な舞いを披露しながら、天空に帰って行く、 と言うストーリーで、美人の天人さんが、下界の汚れに汚される前に天界に 復帰できるので、聞いている方も、なにか救われた様な気がします。

 この、天人が衣を掛けたと言う松は、現・静岡市清水区三保に現存してい ます。JR東海道本線清水駅から、しずてつジャストラインに乗って、三保 松原入り口で下車して、およそ、徒歩十分ほどの所だそうです。

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シイタケ

 新物のシイタケが出回る3月~5月と9月~11月。春にできるものが「春子」、秋のものは「秋子」と呼ばれています。主な栽培法は、シイやナラの木に菌を植え付ける「原木栽培」と、原木の代わりにおがくずなどを固めたものを使う「菌床栽培」があり、うまみが多い「原木」は干しシイタケ向き、「菌床」はやわらかく生シイタケ向きとなっています。

 シイタケは古くからその健康効果が認められてきましたが、「中国薬用真菌」には「気力を高め、五風(風邪・中風・痛風・瘋癲(ふうてん)・頭痛)を改善し、血液を固まらせないように保ち、体内の余分な水分を防ぎ、気力を調える。そして肝硬変を予防し、血中コレステロールを下げ、動脈硬化や血管の弱くなるのを防ぎ、常食すればガンを予防できる」と記されているそうです。

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江戸の近郊農業事情

 徳川家康公が江戸へ入り、町が繁栄し、江戸の人口が増えていくと、生鮮野菜の供給が間に合わなくなるのは分かっていました。そこで幕府は、江戸周辺に幕府直轄の地を集中させ、そこで野菜を栽培させ、江戸へ供給させる事にしたのです。

 江戸城の東側は、当時の利根川(現・江戸川)に面していて土地が豊かで、暖流の流れる海に近いため、気候が暖かく、葉物野菜の栽培に適しています。また、江戸城西側は、土地が深く乾燥する台地が広がり、根菜類の栽培に適していました。早くから野菜作りが始まったのが、現在の江東区、深川、北砂、南砂、砂村近辺で、ネギ、ニンジン、キュウリ、ナスなどが栽培され、名産となります。

 現在でも栽培されている「江戸の地名を冠した野菜」には、小松菜(現・江戸川区)、亀戸ダイコン(現・江東区)、金町コカブ(現・葛飾区)、千住ネギ(現・足立区)、谷中ショウガ(現・荒川区)、寺島ナス(現・墨田区)、滝野川ゴボウ(現・北区)、品川カブ(現・品川区)、馬込三寸ニンジン・馬込半白キュウリ(いずれも現・大田区)、練馬ダイコン(現・練馬区)などがあります。なかでも、寺島ナスは、将軍家が使う野菜を栽培する、幕府直営の「御前栽畑」で作られる、一大ブランドとして有名でした。

 中目黒のお百姓さんがダイコンを売っています。江戸時代、目黒と言うとタケノコの名産地でしたが、ダイコンの栽培も多く行われていました。当時のダイコン栽培は、練馬の秋ダイコン(八~九月に蒔いて十~十二月収穫)、亀戸の春蒔きダイコン(三~四月に蒔いて五~七月収穫)、板橋清水の夏ダイコン(五~七月の蒔いて七~九月収穫)などがありましたが、ダイコンは四季を問わず、いつでも出回っているありがたい野菜でした。
目黒のダイコンは、練馬と同じ秋ダイコンで、秋から冬に蒔いて、冬の終わりから春先に収穫されたダイコンを、大八車に積んで、江戸の山の手を売り歩いていました。なお、江戸では、ダイコンを売る方たちを「ダイコヤ」と「ン」の字を省略して呼びました。

 三代将軍・家光公は、「権現様(神祖・家康公)再来のごとし」との、幕府のキャッチフレーズとは裏腹に、実は、色黒で吃音(きつおん=どもり)で、小心者の小男でした。その家光公が病(気鬱症・きうつしょう=現代で言う、ノイローゼ、うつ病)になった時、陰陽師(おんみょうじ=占い師)に占わせたところ、江戸城の西北で「馬」の字のつく土地で療養すれば良い、とのご神託がありました。調べてみると江戸城西北に「練馬」と言う土地がある事がわかり、さっそく、そこへ別荘を建てて、療養しました。ただ、ボケっとしていても暇なので、ご親類筋にあたる、御三家の「尾張徳川家」から、名産の「尾張ダイコン」の種をゆずってもらい、練馬の地で、お慰みにダイコンを栽培しました。すると、この練馬の地は、ダイコンの育成にはもって来いだったのでしょう、本家、尾張をしのぐようなりっぱなダイコンが収穫され、やがて、ダイコンは練馬の名産となり、今に残る「練馬ダイコン」となるそうです。

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あいまい宿事情

 表向きは宿屋で、客に宿泊場所を提供する施設でありながら、食事だけを取る事も出来、酒宴をはる事も出来、その上、裏では売春まで行っている、何が本業だかよくわからない、「あいまい」な商売をしている宿を「あいまい屋(あいまい宿)」と呼び、古くは江戸時代から各地にありました。

 江戸時代が終わり、明治から戦前まで、このあいまい宿は「チャブ屋」と名前を変えて、生き残ります。チャブ屋の語源は諸説あるのですが、英語の軽食屋「CHOP HOUSR(チョップ・ハウス)」がなまったもの、アメリカで中華料理を指す「チャプスイ」がなまったもの、などと言われます。

 戦前の日本では、日本在住の外国人や外国船の船乗りを相手に営業をして、横浜をはじめ、函館や神戸など、主要な港町に存在していました。幕末の元治元年(1864)に結ばれた「横浜居留地覚書」により、横浜の山手・根岸・本牧地区を結ぶ外国人遊歩道が設置され、その沿線に十六軒の茶屋が営業を許可され、日本女性が、訪れる外国人の対応をしたのが始まりとされます。その後、横浜山下町の前田橋周辺にも広がり、やがて、全国の港町へ普及していくのですが、本家の横浜の「チャブ屋」は、関東大震災で壊滅状態となり
ます。

 戦後は若い進駐軍相手の歓楽街として、再興しますが、昭和三十三年の「売春禁止法」により、消滅します。

 この「チャブ屋(あいまい宿)」を扱った芸術作品も多く、小説「痴人の愛」、「本牧夜話」(谷崎潤一郎著)、小説「人生劇場」(尾崎士郎著)、小説「続・人情馬鹿物語」(川口松太郎著)、映画「港の日本娘」(清水宏監督)、歌謡曲「別れのブルース」(淡谷のり子唄)などなどがあります。

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ニシン

 「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれる「ニシン」。今では「幻の魚」と言われるほどその数は激減しています。北海道を代表する民謡「ソーラン節」がニシン漁の労働歌であることからも分かりますが、かつてニシン漁業は北海道の一大産業でした。

 漁が最も盛んだったのは明治の終わり頃で、岸に押し寄せるニシンの雄の精液で海が白くなったそうです。そして、「ニシン御殿」が林立していました。

 旬の魚として人気があるのは、3~5月頃に北海道沿岸に産卵のために近づいてきたもので、脂がのって最も美味しくなります。身が軟らかく独特の油臭さがありますが、これがまた特有のうまみにもなっています。

 ちなみに、「子供が栄え、子孫が栄える」・「よいことが数々ある」の縁起でお正月の食膳に欠かせない「数の子」は、産卵の為に沿岸におしよせるニシンの雌の腹から取り出した卵巣を1本1本塩水で処理加工したものですが、意外とニシンから採れることを知らずに食べている人も多いようです。

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潮干狩り

 月の満ち欠けを基準にしている旧暦(太陰暦)では、新月から新しい月が始まり、満月は十五日にあたります。
満月や新月の頃というのは、月の引力の影響で潮の干満の差の大きい「大潮」の時期で、潮干狩りに適しています。

 潮干狩りがこの時期に盛んになるのは、外遊びするのに程よい気候ということもありますが、上巳の節句(旧暦三月三日)に、穢れを清めるための磯遊びが行われていたことに関係しています。また、潮干狩りには潮が大きく引いた干潮が適しており、3月から5月にけての大潮が1年を通じてもっとも引きが強いということも理由としてあります。

 ちなみに「大潮」とは潮の満ち引きの差が大きいことを意味し、小さいときを「小潮」、その中間くらいを「中潮」と言います。新月や満月の前後数日間が大潮、つまり旧暦の1日、15日前後が大潮で、大潮、中潮、小潮、そして長潮(干満がゆるやかで長く続くように見える小潮末期)、若潮(長潮の翌日で、大潮に向かって干満の差がしだいに大きくなってゆきます)はおよそ2週間でひと巡りします。

 最近は埋め立てが進み、自然のままの潮干狩りを楽しめる海岸は少なくなりました。それでも観光として(有料で)行っている海岸では、漁労関係者が養殖のアサリを海岸にまいて来訪した家族を失望させないようにしています。

 春を迎え、あたかかくなった一日を、海浜で過ごす風習は全国的に見られるそうです。潮が引き、干潟に残る忘れ汐(干潟に残った海水)。そこにカニや小魚をみつけた磯遊び。春の日の懐かしい思い出です。

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散る桜

 今年は花冷えの日が続いたおかげで今年は長く花を楽しむことができました。

 観て美しいだけでなくその散り際の潔さも古くから愛されてきた桜花。

 一休禅師は「花は桜木 人は武士 柱は檜木 魚は鯛 小袖は紅葉 花はみよし野(美吉野)」と自分の好みとして世の中の第一級のものを詠いました。

 「花は桜木、人は武士」の言葉は歌舞伎でも使われるようになり、「敷島の大和心(やまとごころ)を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花」(本居宣長)の歌で桜の花は一つの象徴となっています。

 また、散り際の儚さは諸行無常に通じ、良寛禅師の辞世の歌と言われる「散る桜 残る桜も 散る桜」にもそれを感じます。


 「限りあれば 吹かねど花は 散るものを 心みじかき 春の山かぜ」
                            (蒲生氏郷)

 「さだめなき 風にまかせて 散る花を 花とばかりに 思い眺むる」
                            (詠人不知)

 「ちりぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」
                          (細川ガラシャ)

など、桜の花に例えて人の世の儚さを詠んだ歌は少なくありません。四七歳という短い生涯の大部分を貧困と孤独の中で暮らした作家・林芙美子の次の言葉もまた有名です。
 
 「花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき」

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子ども手当

 3月26日に来年度予算案が国会で議決され、正式に成立しました。

 政権交代後の初めての本予算。
 このことで私たちの生活にどんな影響があるのか、考えてみました。

 「子ども手当」の給付が決定しましたが、これは2010年度についてのみです。
 2011年度以降については、必要な財源のメドがたっていないことから、あらためて検討されるそうです。

 2010年度の子ども手当の金額は、民主党マニュフェストに記載された額の半額で、子ども1人あたり、月13,000円。

 対象は、中学生以下の子どもがいる世帯。
 最初の支給は6月。このとき、2ヵ月分26,000円/人が支払われます。その後は10月と2月にそれぞれ4カ月分(52,000円)が払われます。

 現在、一定の所得額の世帯のうち、小学生以下の子どもの人数に応じて児童手当を受け取っている世帯は、子ども手当を受け取るのに特別な手続きはいりません。

 しかし、それ以外の世帯は申請が必要です。
 子ども手当には所得制限がないので、小学校以下の子どもがいても児童手当を受け取っていない世帯があるはずです。

 また、児童手当の受給世帯であっても、上の子が中学生の場合は、この子の分の子ども手当については、申請が必要です。

 申請は、まず、市区町村の窓口で認定請求書をもらうこと。世帯構成や指定の銀行口座などを書いて提出すると、子どもの人数分の金額が振り込まれます。

 地域によっては、対象世帯に認定申請書を送付したり、現金支給するところもあるようなので市報、区報などで確認したほうがよいと思います。

 特に会社員世帯の人は、暮らしのなかで市区町村役所と関わることが少ないでしょう。うっかり申請し忘れないように注意してください。

 なお、受け取った子ども手当には、所得税や住民税などの税金はかかりません。非課税です。

 遺族年金や失業手当などと同じですね。

「弱者救済の色彩の強い給付金や手当が非課税になるのはわかるが、高収入の人にも一律給付する子ども手当を非課税にするのはどうか?」という声も、実はあります。

 そもそも子ども手当の目的を、「弱者救済」とするのか、それとも「消費の活性化による経済対策」なのか、「少子化対策」なのか、十分な議論がなされず、生煮えのまま「マニュフェスト実現」に向けて動きだしたため、どうも中途半端になってしまいました。


「何の苦労もせずにお金がもらえる」ことは、会社員の世界にもよくあります。
 典型的な例が、「仕事のレべルはアップしないのに年齢とともに給料が上がる」、あるいは、「福利厚生制度が充実したものになる」など。

 これらは、その瞬間はうれしく思っても、すぐに「あたりまえ」になります。つまり、これらは働く人の満足度をアップさせたり、仕事の動機づけをする要因にはならず、不満を防ぐためのものでしかないのです。

 そしていったん良くなった条件が逆に悪くなれば、強い不満や抵抗、反発が起こります。

 このことは、経営学の教科書では「ハーズバーグの動機づけ─衛生理論」として、よく説明されます。

 真に人々を動機づけるものは、「達成」「承認」「仕事そのもの」「責任」「昇進」「成長の可能性」などであり、「監督」「作業環境」「身分」「給与」「安全保障」などではありません。


 政策の立案や実行もこれと同じで「人々が成長の実感を得られるような仕組み、制度は何か?」がとても大切。

「子ども手当」に、この視点が欠けていることを直感的に感じている多くの人たちが、なんとなく腑に落ちない表情をして首をかしげているのです。

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年と年度

 今年も年が明け新年になったばかりと思っていましたが、早いもので既に新年度が始まっていました。 

 一般的に「年」という場合には、暦年と同じく1月1日から12月31日までの期間で、「年度」という場合には4月1日から翌年の3月31日までの期間を指しています。定義としては1月1日以外を開始点とする(通常の暦年と開始点と終了点が異なる)ものを「年度」と呼んでいます。

 日本の場合、官公庁や民間企業の多くが4月からを「会計年度(予算を執行するための定められた期間)」としています。「年度」は企業会計における会計期間(決算期)と同意であり、年度の最終月を「決算月」、決算月の末日を「決算日」と呼びます。

 ただし、会計年度や学校年度(学事年度)は国によって異なっており、アメリカの会計年度は10月から翌年9月まですが、日本と同様に企業によって決算月が異なり、1月から12月までを会計年度としている企業も少なくありません。

 他に暦年と同じ1月─12月を会計年度としているのは中国、韓国、フランス、ドイツなど。イギリス、カナダ、インド等は日本と同じ4月から翌年3月まで、ノルウェー、フィリピン、オーストラリア等は7月─6月制を採用しています。

 これら決算期の違いによって、第1四半期や第2四半期などのくくりが示す期間も国や企業によって異なります。

 また、日本では4月から新学期が始まりますが、アメリカの学校のほとんどは9月スタートで、新学期商戦の始まる8月は米小売企業においてはクリスマス商戦に次ぐ繁盛月となっています。

 その他、「年度」には歴年と同じ「貿易年度」、6月からの「生糸年度」、7月からの「酒造年度」「麦年度」「でんぷん年度」「肥料年度」、8月からの「綿花年度」、9月からの「いも年度」、10月からの「コーヒー年度」「大豆年度」「砂糖年度」「農薬年度」、11月からの「米穀年度」等があるそうです。

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一物四価

 先日発表された「公示地価」も含めて、公に発表される地価には以下のようなものがあります。


・公示地価 国土交通省が3月に公表。1月1日時点での全国の約2万8千の標準値について、各地の不動産鑑定士が実際の売買事例を重視しながら土地の評価を行い、国交省土地鑑定委員会が公表します。

国や自治体の用地取得や国土利用計画法に基づく取引価格の基準となり、民間の土地取引の適正価格の目安にもなっています。


・路線価  国税庁が7月に公表。1月1日時点での全国約37万地点の路線に面する土地価格を、売買実例価格や不動産鑑定士らの鑑定評価額などをもとに、公示地価の8割を目安に算出。

路線価は相続税や贈与税を算定する際の基準となっており、路線価を0.8で割る(あるいは1.25をかける)とほぼ公示地価になります。


・固定資産税評価額 固定資産税など土地と建物にかかる税金の基準となる価格で、専門家らの判断も参考に市町村が算定しおおむね2月から4月にかけて公表されます。土地の固定資産税評価額は公示価格の7割、
新築の建物の場合は建築費の5~7割程度が目安とされます。評価の見直しは3年に1度。


・基準地価 都道府県が9月に公表。7月1日時点での全国約2万4千地点の土地価格を調査し、周辺の取引事例も参考にしながら不動産鑑定士が評価・算出しもの。公示地価とともに土地取引の目安となります。


 公的な土地の価格(評価額)には、上記4つの価格が存在すことが「一物四価」と言われる所以です。実際に取引される「時価(実勢価格)」も加えますと「一物五価」となります。※一物四価のくくりは、固定資産税評価額の代わりに実勢価格を入れる場合もあります。

 尚、公示地価と基準地価は調査地点の変動率を単純に平均したものですが、路線価は土地の価格を加味したうえで平均を算出(加重平均)するため地価が高い大都市の影響を受けやすいという特徴があります。

 また、上記で示しましたように路線価を0.8で割るとほぼ公示地価になり、公示地価を0.9で割ると実勢価格に近くなるとの指摘もあります。

 ちなみに、バブルの頃は地価があまりにも急激に高騰したため、相続税や贈与税算定の基準となる当時の路線価は「実勢価格の3割程度」と言われたこともあります。その後のバブル崩壊では、今度は実勢価格の下落に路線価の評価替えが追いつかず、実勢価格よりも高い路線価で土地に課税されているとして裁判になったこともありました。

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ETC型

 厳しい就職戦線をくぐり抜けてきた新卒者が社会人の仲間入りをしていますが、そんな彼らについて社会経済生産性本部は「ETC型」と命名しました。

 今年の新入社員のタイプを「ETC型」とした理由について「携帯電話などIT活用にも長け、情報交換も積極的。時間の使い方も効率的で物事をスムーズに進めるようなスマートさもある。また、環境問題への関心も高い」と分析。同時に「効率性を重視するあまり人との直接的なコミュニケーションが不足」しがちなことを指摘し、「打ち解けて心を開くまで時間が掛かるため、性急に関係を築こうとすると直前まで心のバーが開かないので、上司や先輩はスピードの出し過ぎにご用心」としています。

 一方、今年の新入社員を対象にアンケート調査を行った明治安田生命は、今年の新入社員について「経済の先行き不安からか、経済的・精神的な安定を求め、生涯一企業を望み、職場内での人間関係を重視する平和主義タイプ」が多いと指摘しています。

 ちなみに新入社員が選ぶ理想の男性上司は、親しみやすいイメージで女性から圧倒的な支持を得た「関根勤」さんが昨年の3位からトップに浮上し、以下「山口智充」さん、「唐沢寿明」さんと続きます。

 理想の女性上司トップは、昨年8位の「天海祐希」さんで、2位に「真矢みき」さん、3位に「江角マキコ」さんと、姉御肌で頼もしいイメージの女性が上位にランクインしています。

http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity000974.html

http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/release/2009/pdf/20100325.pdf

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エンゲル係数

 皆様よくご存じの「エンゲル係数」は、食費が家計全体の何%を占めるかを表しており、一般にこの数値が高くなるほど生活は苦しいと判断され、貧困度を表す指標の一つとされています。

 しかしながら「エンゲル係数が高い=生活が苦しい」とは言えないケースもあるようです。

 総務省の家計調査から都道府県の県庁所在地と政令市の1世帯当たりのエンゲル係数を調べたデータによりますと、京都、神戸、大阪の順でエンゲル係数が高くなっています。

 具体的には、1世帯当たりの全国平均エンゲル係数が23.4%に対し、京都は27.3%、神戸は26.0%、大阪が25.6%と、いずれも全国平均を上回っています。

 ちなみに東京都区部は、京都などと比べてのエンゲル係数が低いかわりに、衣料費や住居費などの支出が多くなります。

 こうした結果を踏まえ神戸大学の教授は、3都市のエンゲル係数が高い理由として、他の地域に比べ「食への関心・こだわり」が強いのではないかとしています。

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政令指定都市

 隣接する町と合併して新しい熊本市が先月誕生しました。これにより人口が70万人を超えた熊本市は2012年4月の政令指定都市昇格を目指します。

 政令指定都市(以下「政令市」)へ昇格するには、実際の運用基準について以前は「人口100万人以上、または、近い将来人口100万人を超える見込み」とされていましたが、合併特例法により政令市昇格の人口要件が「70万人程度」に緩和されており、2005年以降、静岡市、堺市、新潟市、浜松市、岡山市と相次いで政令市が誕生しています。この4月には神奈川県の相模原市が新たに政令市に仲間入りします(19番目)。

 政令市になりますと県から多くの権限が移譲され、県の影響力が低下すると同時に県とほぼ対等の権限を有することになります。県との「二重行政」などの問題点も指摘されますが、権限移譲により、例えば、県道や市街地開発事業などについての決定権を持つなど、多くの事務で県知事の許認可や承認等が不要になります。また、必要経費の増大に伴い、石油ガス譲与税や宝くじ発売収益金が新たに交付または配分され、地方道路譲与税等の増額など財源も拡大します。

 ちなみに、政令市昇格を目指す熊本市と間もなく政令市に昇格する相模原市を含めて、今年2月あるいは3月の最新の人口データに基づく20都市の人口ランキングは以下のようになっています。

 横浜市  (367万人)    北九州市 (98万人)
 大阪市  (266万人)    千葉市  (96万人)
 名古屋市 (226万人)    堺市   (84万人)
 札幌市  (190万人)    浜松市  (82万人)
 神戸市  (154万人)    新潟市  (80万人)
 京都市  (146万人)    熊本市  (73万人)
 福岡市  (145万人)    静岡市  (72万人)
 川崎市  (141万人)    相模原市 (71万人)
 さいたま市(122万人)    岡山市  (70万人)
 広島市  (117万人)
 仙台市  (103万人)

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商品名

 商品名や商標名が一般名詞(普通名称)として通用、あるいは商品名とは知らずに用いられているケースは多々あります。

 例えば「ホッチキス」がそうであり、一般名詞では「ステイプラー」と言います。「エスカレーター」ももともとは商品名でしたが、現在は「ホッチキス」ともども商標権が消滅し普通名称化しています。

 他にも、よく知られているものとしては下記のようなものがあります。


<商標・商品名> <登録企業>  <一般名詞>

エレクトーン     ヤマハ      電子オルガン

アイスノン       白元       冷却まくら

ウォシュレット      TOTO       温水洗浄便座

シャワートイレ     INAX          温水洗浄便座

ポリバケツ      積水化学      プラスチック製バケツ

マジックインキ    内田洋行      油性マーカー

マジックテープ    クラレ         面ファスナー

宅急便         ヤマトHD      宅配便


 他にもたくさんありますが、デジタルカメラを簡略化した「デジカメ」は三洋電機の登録商標だそうです。すでに一般名詞化しており、三洋側も「デジカメ」単体での使用は不問としていますが、「○○のデジカメ」(○○はメーカー名)のような記述は認めないと表明しています。

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「たのしみは」

 たのしみは 空暖かに うち晴れし 春秋(はるあき)の日に 出でありく時

 橘曙覧(たちばなのあけみ)の句を思い出す、そんな麗らかな日和となりました。

 国学者の橘曙覧は、正岡子規に「源実朝以来、歌人の名に値するものは橘曙覧ただ一人」とまで言わしめた歌人でもありました。その橘の歌集に『独楽吟(どくらくぎん)』というのがあり、天皇・皇后両陛下の訪米歓迎式典の際に当時のクリントン米大統領が引用したことでも知られています。

 たのしみは・・で始まるこの連作句は、日常の中にはほんの些細な事ながら喜びが溢れていることを思い出させてくれます。

 たのしみは 草のいほりの 莚(むしろ)敷き ひとりこころを 静めをる時

 たのしみは 妻子(めこ)むつまじく うちつどい 頭ならべて 物をくふ時

 たのしみは 心にうかぶ はかなごと 思いつづけて 煙草すふ時

 たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時

 たのしみは 三人(みたり)の児ども すくすくと 大きくなれる 姿みる時

 たのしみは 庭にうゑたる 春秋(はるあき)の 花のさかりに あへる時時


 皆様の日常の中の“楽しみ”はどれくらいありますでしょうか。たくさん並
べてみれば、楽しいことや喜びで溢れてきます。

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采根譚

 例年この時期になりますと中国古典にある「花は半開を看る」という言葉を思い出します。

 満開に咲き乱れている花は確かにきれいですが、すぐに見飽きてしまいます。それよりも五分咲きぐらいの方に、かえって風情があるようです。満ちたりた状態というのは、だれでも願うところです。しかし、それがはたして幸せなことなのかどうか、よくわかりません。

 まわりから見て、なんの不自由も心配もなさそうな人がいます。しかし、そんな人に限って意外に深刻な悩みをかかえていたりします。それに、満ち足りた状態というのはおおむね長続きしません。いや、そこまで登りつめたら、満開の花がすぐ散っていくように、転落する日も近いと覚悟すべきです。だからいよいよ悩みも尽きないということになるかもしれません。

 それを考えますと、満開、絶頂はあまり誉められた状態ではないかもしれません。むしろそこまで登りつめないで、ほどほどのあたりが理想ということになります。

 花便りの聞かれる頃、改めて「花は半開を看る」の気持ちで桜の風情を楽しみたいと思う次第です。

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人を恋ふる歌

 学年の途中はかわいそうだとして3月を待って離婚するケースが多いそうです。一方、「ジューンブライド」と言われるわりには、梅雨時であるため6月の結婚は意外に少なく、暑気が去った秋や暖かくなりはじめた今頃の時期の方が婚礼が多いと聞きます。

 ところで、ご存じの方も多いかと思いますが、明治の頃の歌人・与謝野鉄幹が作った詩に「人を恋ふる歌」というのがあります。


  一.妻をめとらば才たけて
    顔(みめ)うるわしく情(なさけ)ある
 
    友をえらばば書を読みて
    六分(りくぶ)の侠気 四分(しぶ)の熱

  二.恋の命をたずぬれば
    名を惜しむかな男(おのこ)ゆえ

    友のなさけをたずぬれば
    義のあるところ火をも踏む


 3月は卒業式、4月は入学式、入社式・・・いずれにしても人生の節目・岐路になることが多い季節です。そしていつもこの時期、「人を恋ふる歌」を思い出します。

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花吹雪

 都心の桜も見頃を向かえました。こんなにも桜の木があったのかと思うほど、街のあちらこちらで薄桃色の花が咲いています。

 江戸時代の仮名草紙「薄雪物語」には「世の中は月に叢雲(むらくも)花に風、思ふに別れ思はぬに添う」とあり、その例えどおり昨日の関東地方は強い風が吹きましたが、今日は穏やかな花見日和が期待できそうです。

 桜は日本を代表する花であり、日本人にとりましては特別な存在の花です。
そんな桜にまつわる言葉をいくつかご紹介したいとと思います。

花時(はなどき)     桜の花が咲く時季
桜狩(さくらがり)    花見
花盛り(はなざかり)  満開の桜
花影(はなかげ・かえい)水面などに映った桜花の影
花明り(はなあかり)  夜、満開の桜のまわりがほのかに明るく感じる様
花衣(はなごろも)   花見に行く際の女性の美しい着物 
花疲れ(はなづかれ) 花見に行って疲れること
花人(はなびと)     花見の人
花守(はなもり)     花の番をしている人
花篝(はなかがり)   夜桜を見るために花の下で炊かれる篝火「花雪洞」
花筵(はなむしろ)   桜の花びらが一面に散り敷いている様子
花曇(はなぐもり)   桜の頃に多い曇天。花を養うとの意で「養花天」
花の雨(はなのあめ) 花見の頃に降るあいにくの雨「桜雨」
花の風(はなのかぜ) 桜を散らしてしまう恨めしい風「花嵐」
花の雪(はなのゆき)  雪のように散る桜花
零れ桜(こぼれざくら) 散る桜
花筏(はないかだ)   水面に散った花びらが吹き寄せられ流れていく様
残花(ざんか)     散り残った桜花
桜流し(さくらながし) 散った花びらが雨や水に流れていく様子

 これらの言葉を見ただけでも、桜は日本人に愛されてきたことが分かります。
ちなみに「花吹雪」は、詩人谷川俊太郎の尊父で哲学者の谷川徹三氏がかつて世界一美しい言葉として激賞した言葉でもあります。

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桜の季節

 桜のまぶしい季節が到来しました。


『ひさかたの 光りのどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ』

『花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』


 ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、上記は百人一首の中で桜を歌ったものの一部です。百人一首では桜を歌ったものは6つ程ですが、万葉集に詠まれた桜の歌は40首、対する梅の歌は118首あるそうです。

 奈良時代には、花と云えば梅を指し、平安時代になって花と云えば桜を指すようになったと云います。奈良時代に中国の思想をもとに造営された平城京、そしてそれを受け継ぐ平安京、その平安京では御所の紫宸殿(ししんでん)前にあるのは当初「左近の梅」でしたが、菅原道真の進言によって桜に代わったと云います。

 ところが、奈良時代より以前の神話の時代の話では、これまた花と云えば桜だったようです。ただし、今の「ソメイヨシノ」ではなく、「ヤマザクラ」、「オオヤマザクラ」、「オオシマザクラ」と云った種類の桜です。

 ちなみに、今のソメイヨシノは東京都豊島区の「染井」と云う地で江戸時代後期にウバヒガンとオオシマザクラの交配種として誕生したそうです。値段が安く、成長が早いので一気に日本全国に広がったそうです。

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幸福度調査

 孔子は、弟子の顔回のことを「賢なるかな回や。一簞(たん)の食(し)、一瓢の飲、陋巷(ろうこう)にあり。人はその憂いに堪えず。回やその楽しみを改めず。賢なるかな回や」と評しました。

 意味は「顔回は偉い男だ。竹カゴ一盛りのご飯と、ひょうたんに水が満たされているだけで、しかも路地裏住いで満足している。普通の人なら不安や焦りでとてもあのようにしてはいられないだろうに。顔回は少しも気にせず、とても楽しそうにしている。貧しさに心を動かない顔回は賢人だ」となります。

 当たり前のことではありますが、幸福感や満足度というのは、おかれた状況そのものよりも、実際にはその人の心のあり方しだいで万人万様です。であるはずですが、政府は国民の幸福度をはかる新しい指標の作成を検討するそうです。

 通常の統計調査のように、例えば3万人(国民の0.023%)を対象に幸福度を聞いて、3万人の最大公約数的な幸福度をもって「国民は幸福である」と判断されても、一体全体それに何の意味があるのか現時点では分りかねます。政府がそのような指標を政策に利用すると考えているのであれば不安です。

 ちなみに、世界最貧国の一つブータンでは、我が国に先駆けて幸福度の向上を政策目標にしており、「国民総幸福量(GNH)」として金銭的・物質的豊かさではなく、精神的な豊かさ(幸福度)を数値化しています。2007年に同国で行われたる国政調査では「あなたは今幸せか」という問いに対し9割が「幸せ」と回答しています。

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タ イ

 「魚」に「周」(あまねく)と書いて鯛(タイ)。名前の通り、日本周辺に生息しています。代表格は真鯛(マダイ)で、祝い事に用いる習慣は江戸時代に定着したそうです。

 「タイに旬なし」と言いますが、桜の咲くこの時期が産卵前で最も美味しいとされています。3~4月の産卵期、内海に入ってくる天然物は脂が乗ってうまみが増し、体色も赤みを帯びて一段と冴えた色合いを見せてくれます。

 この時期の真鯛は体色が鮮やかなピンクとなり、見た目も美しく、桜の時期とも重なるため「桜ダイ」とも呼ばれます。

 ただ、最近は年間を通して安定供給できる四国などの養殖物が主流で、天然物に比べて浅場で育つため日焼けしてしまい、黒ずんだ色になっています。尾びれが丸いのが養殖物、力強くハネたものが天然物です。

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