« 夏バテ | トップページ | パーキンソン病 »

コンコルドの教訓

 2003年を最後に民間で唯一の超音速旅客機コンコルドは姿を消しました。コンコルドは、運用段階で赤字が免れないことは開発の途中で判明していましたが、それまでの投資がムダになることを恐れた英仏当局により開発が続行されました。結局コンコルドはわずかばかり生産され、商業的に大失敗に終わっています。

 ある対象への金銭的・精神的・時間的投資を継続することが新たな損失を発生させることが明白であるにも関わらず、それまでの投資を惜しみ、支出をやめられない状態を経済用語で「コンコルドの誤り」あるいは「サンクコスト効果」と言い、この場合の戻ってこない費用を「埋没費用(サンクコスト)」といいます。

 例えば、入会金の2万円を払い、月々5000円の会費を払う契約をしてスポーツジムに入会したが、その後しだいに行かなくなった。今やめても入会金や支払った額は返還されず、また行くかもしれないので契約をそのまましておいた・・・この場合の支出がサンクコストです。

 また、採算がとれないと分かっていても、すでに投下した資金を思ってプロジェクトを続行するケースは、公共事業によく見られます。「元を取らないと損する」あるいは「乗りかかった船」として現状を維持してしまうことは個人でもよく見られる傾向です。

 経済的合理性に反するこのようなことが起こる原因としては複数考えられます。

 まず一つ目は、一般に人はプラスの刺激よりもマイナスの刺激に対してより敏感であり、損失を明らかにすることを回避しようとする傾向があるためです。

 二つ目は、間違いを認めることへの抵抗。計画の中止は、過去の決定が間違っていたことを否応なしに認識させます。決定に関わった人は、中止した際の悪評を恐れたり、自尊心が傷つくことを避けるために、中断ではなく続行を選ぶことになります。

 三つ目は、子供の頃から耳にしてきた「ムダにするな」という言葉が、意志決定に影響した結果です。本来、サンクコストに適用すべきではない標語ではありますが、支払ったコストをムダにしないという考えが呪縛となり、過去の出費にこだわってしまうために現状の維持と継続を選択させ、結果的に損失拡大につながります。

 ちなみに、たなぼたで手にしたお金については、浪費しても「ムダにした」という心理的な抵抗は低下します。

 また、子供に対する実験では、子供はサンクコストに囚われないという結果が明らかになっており、年齢がすすむにつれて「サンクコスト効果」が認められるそうです。

|

« 夏バテ | トップページ | パーキンソン病 »

つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コンコルドの教訓:

« 夏バテ | トップページ | パーキンソン病 »