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江戸の木場事情

 木場とは、現 ・東京都江東区木場で、その名のとおり、江戸では木材の一大集積地でした。 慶長九年(1604)に江戸城の建設が始まり、江戸の木材商は、幕府から建築材料となる木材の収集・運搬を命じられ、江戸城本丸が竣工した慶長十一年に は、建設に協力した木材商たちに、材木扱いの免許が与えられます。当初は、 江戸市中に木材を備蓄していましたが、江戸は火事早い所ですので、幕府は、 寛永十八年(1641)の大火をきっかけとして、火事の時、燃焼物となる木材を 江戸市中から移転させることにしました。

 移転先は、元木場(現・江東区深川周辺)でしたが、元禄十二年(1699)猿 江(現・江東区猿江)に移転し、さらに元禄十四年、深川築地町の一部(現 ・江東区木場、深川八幡様の横裏)へ移転し、その場所が、元禄十六年、木 場町と名付けられました。

 海に近く、掘り割りが多く開削されたこの地域は、海水と真水が混じり合 う汽水域で、その汽水の中へ木材をつけておくと、腐りにくく、虫もつかないし、防火上も安全で、木材の貯蔵にはもって来いでした。やがて、江戸市中の大店も、自店が火事で燃えてしまった時、すぐに店舗を再建できるように、木材を大量に、木場に保管するようになります。江戸では、店が火事で 燃えても、地面がさめないうちに商売を再開する、と言うのが一種の自慢で もありました。木場は、木材を扱う大問屋が立ち並んでいますので、木材が 安く、また、様々な木材が揃っていますので、大きな普請を引き受けた大工 の棟梁は、木場へ行って木材を品定めして、大量購入しましたし、茶室や離れ、隠居所などを増築する大店では、出入りの大工さ んを引き連れて、木場へ木材の選定、購入に訪れたのです。

 木場は、明治期になっても、東京の貯木場でしたが、埋め立てが進み、内 陸部となってしまったために、昭和四十四年(1969)、多くの材木商は、海に近い新木場(現・江東区新木場)へ移転し、木場のあった場所は、東京都が 買収し、木場公園となっています。

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コメント

「江戸市中の大店も、自店が火事で燃えてしまった時、すぐに店舗を再建できるように、木材を大量に、木場に保管するようになります」って知りませんでした!
すごい商売ですね。
なにか、詳しく書いてある本とかあったら教えて下さい!

投稿: | 2018年10月26日 (金) 15時50分

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