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高齢者の転倒防止(2)

 実際の転倒防止策の策定に当たっては、高齢者個々人のADLを評価する必要があります。

 転倒のリスクを評価する方法として、「ティネッティのバランス評価」(立ち上がれるかなどを12点満点でチェックするもの)、「ティネッティの歩行評価」(歩き方や歩幅を16点満点で点数をつけるもの)がありますが、運動機能評価としては、timed up and go(椅子に座ってもらい、立ちあがって3m先の目印まで歩き、戻ってきて再び椅子に座るまでの時間測定)もよく用いられます。

 高齢者のADLの評価に際しては、評価の結果で落ち込まさないようにして、定期的にバランス・運動機能を評価することも大切です。単なるADLを把握するだけでなく、努力すれば達成出来るADLの評価も大事で、努力により可能であるにも関わらず、本人がその動作を行おうとしない場合もあります。

 一般的に過小評価は、介護者の過剰介助につながり、本人が持っている能力を発揮しないまま、機能低下に陥ってしまうことになります。そして、転倒防止のためのリハビリテーションを行う場合には、ADLの評価に基づいた目標設定を行うことが大切です。具体的には、筋力トレーニングやバランス能力の向上訓練を行いますが、その方法として片脚起立運動やストレッチング、椅子からの起立運動などが有効です。

 転倒を防ぐのに福祉用具を効果的に利用することがありますが、転倒の原因が視力・聴力の低下による場合も少なくありませんので、眼鏡や補聴器も転倒を防ぐための重要な道具といえます。

 ヒッププロテクターは、転倒した場合の大腿骨頸部骨折の発生率を減少させるといわれています。また、コルセットは腰痛予防のためだけでなく、転倒防止やふらつき防止にも効果があるといわれています。

 高齢者は転倒しても,痛みの訴えがうまく出来ないこともありますので、周囲の人の発見が遅れることのない注意が必要です。骨折に対して手術を行った場合、術後の安静期間が長いと、廃用性症候群や認知症を引き起こしますので、術後の安静期間の短縮化が急務です。

 住環境の改善には、介護保険制度の住宅改修や福祉用具レンタルを利用することができます。その際には、ケアマネジャー(介護支援専門員)とOT(作業療法士)が高齢者宅を一緒に訪問し、高齢者のADLを評価することが大事です。

 転倒予防には、教育も大切です。すなわち、転倒の深刻さを十分に伝えると同時に、転倒後、起き上がれなくなったときに、どうすればよいかを具体的に話し合っておくことが大切です。日頃から転倒予防のための運動を行うことの重要性を説明して、本人にやる気を起こさせる動機付けも大切です。

最期に、防衛医科大学リハビリテーション部助教授の石神重信氏による「転倒防止10カ条」を次にあげておきます。

●「転倒防止の介助10カ条」

1.見ていないところで起こる転倒

2.夜明けは高齢者の活動時間帯

3.ベッドの高さは35~40cm、危ない柵越え事故

4.乗り移りは最大のリスク

5.介護と子育ては忍耐が決め手

6.杖、装具、車いすの有効活用

7.声をかけ、注意の喚起と安全確認

8.バリアフリーの環境づくり

9.体力・気力は転倒防止

10.寝たきりで、起きる転倒、増える痴呆

●「高齢者自らの転倒防止10カ条」

1.足もとの小さな段差に要注意

2.外出は、時間に余裕をもって

3.悪天候、夜間の外出要注意

4.立ち上がり、急な動きは“めまい”のもと

5.人ごみやバス、電車であわてずに

6.階段は、手すりをにぎって、上り下り

7.転ばぬ先の杖

8.良い履き物は身を守る

9.バランス良い食事と体力づくり

10.歩く前にストレッチ、背すじを伸ばしてゆっくりと

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