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足るを知る

 平安中期の天台宗に源信という学僧がいましたが、この人は「足ることを知れ」と次のようにいっています。「足ることをしらば貧といえども富となづくべし、財ありとも欲多ければこれを貧となづく。」
 
 また、「養生訓」の著者でよく知られている江戸時代の貝原益軒が著した書「楽訓」にも「足ることを知れば貧賤にしても楽しむ」とあります。人間の欲には際限がありません。豊かさは一度慣れてしまえば、それが当たり前となります。一度手に入れた喜びや感動も日に日に薄れていきます。そうすると次なる豊かさを求めるようになります。

  
 豊かさとは意識の問題で、足を知ることが出来れば、豊かさを持ち続けることが出来るようになります。ところが、人間は他人と比較することで自分を評価する傾向がありますので、財政・経済でも、才能でも、足るということを知ることはきわめて困難といわざるを得ません。

 比べるということは必ずしも悪い面ばかりでなく、功罪半ばします。人と比べることにより、挑戦したり、進歩・成長したりすることも可能となります。しかし、他人が持っているものが自分にないときには、多くの場合ねたみを生むことになります。

 “Going my way”で生きるということは、言うは易くして実際に行うのは難しいことです。特に現代のように競争社会で生きていくには、どうしても他人を意識せざるを得ません。

 定年退職を迎えるということは、これまで自分を他人と比べる競争社会と決別する絶好の機会で、これまでの競争で疲れた心身の疲れを癒し、次なる第二の人生を自然体で過ごすことができます。

 そのためには、足るを知ることが何よりも大切であります。勿論、年金だけでは生活できない場合には、パートで働く必要があるかも知れません。再就職してフルタイムで働くことが悪いとはいえませんが、折角の残りの人生ですので、足るを知って充実した人生を送りたいものです。

 物があふれる現代に生きる我々にとって、収納術・片付け術の「断捨離」(だんしゃり)と言う手法が注目を浴びています。提唱者のやましたひでこさんによりますと、「断捨離」はヨガの修行にもとづくもので、「断」は、入ってくる不必要な物を断ち、「捨」は、家にはびこるガラクタを捨て、「離」は、物への執着心から離れる術だそうです。


 この様な指針に基づいて暮らせば、必要最小限のものだけで暮らしていけるようになります。今の自分にとった何が大切かを考えるこの術は、物の整理・片付けだけでなく、心の整理にも役立つものと思います。

 物を捨てると、残した物と自分との関係が深まるといわれます。「断捨離」は、ただ単に物の整理術にとどまらず、人間の生き方に繋がる哲学とも捉えることが出来ます。

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