天下富舞
岐阜県産の高級ブランド柿「天下富舞」の初競りが先日行われ、最高ランク
の「天下人」が2個86万円で落札されました。昨年の2個76万円を上回り、
過去最高値を更新しました。
柿は「日本の果物の中でもっとも美味い」と言った人がいますが、武者小路
実篤は「柿の賦」と題した詩(下記)を残しています。
柿の花は目立たざりけり
人々は顧みざりけり
されど柿の実は目立ちにけり
人々は賞美せり
柿の実は甘きが故に
人々は柿は甘しと云いたり
されど枝ぶり見よや
甘しとは我は思わず
我人々と同じく
風雨にさらされ
人々と同じく
雪霜になやまさるれども
我は天与の食物をとりて
その内より甘露を集めて
わが実をつくりたるなり
我は甘露の雨にうたれしことなく
甘露の泉に根をはりしことなし
されど我、その内より甘露をとりぬ
我 又 かくの如きか
「柿の賦」 武者小路実篤
(意)その実の甘さを皆がほめるけれど、柿の木は甘露の雨を浴び、甘露の泉
に浴したわけではない。あなたと同じように風雨にさらされ、冷たい雪や霜に
悩まされ、与えられたままの環境で、枝を伸ばし根を張り、我が身より甘露を
成し、皆が喜ぶ我が実をつくったのである。柿のごとく、かくありたし。
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