ご存じのように金(ゴールド)の価値にはいくつの側面があり、その価格は
様々な要因で変動します。
ドルは輪転機を回せばいくらでも供給が可能であり、ドル紙幣の発行が急増
すれば必然的にドルの価値は下がりますが、実物資産である金にはそのリスク
がないことから、ドルの価値が下がれば「代替通貨」としての金の魅力が高ま
ることになります。
また、ドル建ての取引が中心である金は(WTIもそうですが)、対ユーロ
でドル安が進めばユーロから見た際の割安感が強まるため価格が上昇しやすく、
ドルが上昇すれば価格が下がる傾向があります。これが「ドルとの逆行性」です。
世界的な景気動向(需給動向)によっても金価格は左右され、インフレ(通
貨価値の下落)が進めば代替通貨の側面から「インフレヘッジと」して金が買
われることになります。
反面、金利上昇は、金利が付かない金(ゴールド)にとってはマイナス要因となります。
最近で言えばウクライナを巡る地政学リスクの高まりも金相場の押し上げ要因となります。
金は価格が変動することはあっても、その価値がゼロになることはなく、普
遍的な価値を有しています。それ故に戦争や経済危機などの有事があった際、
その可能性が高まった際に「安全資産」としての金に資金が流入します。いわ
ゆる「有事の金買い」です。
同じことですが、安全資産の金は「逃避マネーの受け皿」としての側面も持
ち、市場で不安心理が強まると、リスク回避の裏返しとして、金に資金が流入
する傾向があります。
先週のNY金は大きく上昇し約8カ月ぶりに1トロイオンスあたり1900
ドルに乗せましたが、ウクライナ情勢への懸念の高まりで安全資産としての金
に資金が流入した結果です。
参考までに、NY金の過去最高値は20年8月6日に付けた2089.2ド
ルで、終値ベースでは同日の2069.4ドルが最高値。
先週末、大阪取引所で金の先物の指標価格が1グラム当たり7020円に上
昇し、7000円の節目を突破。およそ1年半前の取引時間中につけた過去最
高値7032円に迫っています。
また、田中貴金属の先週末の店頭小売価格は1グラム当たり7761円に上
昇し、2020年8月に付けた過去最高の7769円にあと8円に迫っています。
尚、国内の金価格は、海外での金相場の動向に加え、為替相場の影響を受け
ます。ちなみに、NY金が過去最高値を付けた20年8月上旬の円相場は1ド
ル=105円台半ばで、現在は115円前後。
田中貴金属工業が本日公表した金1グラムあたりの店頭小売価格は、前日比
94円高の7761円と、過去最高値に接近しています。
最近のコメント