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犬も歩けば棒に当たる

 「急いては事を仕損じる」と申しますが、一方で「善は急げ」と言い、「渡
る世間に鬼はなし」と思いきや「人を見たら泥棒と思え」と言ったりします。

 

 このように反対の意味を持つことわざがあるのは珍しくありませんが、一つ
のことわざが二つの正反対の意味を持つという例もあります。

 

 たとえば、いろは歌留多の一番に登場する「犬も歩けば棒に当たる」です。

 

 この札には棒で打たれて逃げ廻っている犬の絵柄が描かれていますように、
用もないのにうろうろ出歩いていると災難に遭うという教訓を伝えていますが、
一方でこの言葉は積極的に出歩いていると思いがけない幸運に出会うことがあ
るという意味でも使われます。この札が登場した江戸時代の半ば頃から、両方
の意味が存在したそうです。

 

 他に、二つの意味を持つものとしては「斧を研いで針にする」(努力すれば
成功する、ムダな骨折り)などもあります。

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