花札について
花札は、日本特有のかるたの一種で、花かるた、花がるたとも呼ばれ、ト
ランプのようなカードです。トランプが十一は王子様、十二は女王様、十三
は王様が描かれ、一から十までは、ハートやクラブなどのスートが、そのカ
ードの表す数だけ描かれているという、味気ないものに対し、日本の花札は、
一月から十二月の十二種類、各四枚の札(カード)に、それぞれ意匠を凝ら
した美しい絵が描かれています。そして、トランプと決定的に違うのは、同
じ種類の札でも、描かれている絵よって、札の持つ得点が違うという事です。
一月から十二月まで、それぞれ四枚ずつの札は、
月 花 二十点 十点 五点 カス
一月 松 松に鶴 松に赤短 松のカス(二枚)
二月 梅 梅に鴬 梅に赤短 梅のカス(二枚)
三月 桜 桜に幕 桜に赤短 桜のカス(二枚)
四月 藤 藤に不如帰 藤に短冊 藤のカス(二枚)
五月 杜若 杜若に八橋 杜若に短冊 杜若のカス(二枚)
六月 牡丹 牡丹に蝶 牡丹に青短 牡丹のカス(二枚)
七月 萩 萩に猪 萩に短冊 萩のカス(二枚)
八月 芒 芒に月 芒に雁 芒のカス(二枚)
九月 菊 菊に盃 菊に青短 菊のカス(二枚)
十月 紅葉 紅葉に鹿 紅葉に青短 紅葉のカス(二枚)
十一月 柳 柳に小野道風 柳に燕 柳に短冊 柳のカス(一枚)
十二月 桐 桐に鳳 凰桐のカス(三枚)
という四十八枚になり、この華麗な札を使って二人で対戦するのが「こい
こい」です。
まず、二人が向き合って、親が自分に手札として八枚、子に手札として八
枚札を配り、場に八枚表を向けて配り、残りの札は山札として、裏向きで場
に積んでおきます。
親から順に手札の一枚を場に出し、合う札があれば合札とし、ない場合は
捨て札になります。次に山札から一番上の札を一枚めくり、場に出して、合
う札があれば合い札、ない場合は捨て札となります。合い札は自分の札と成
り、自分の前を向けて並べておきます。
これを、親と子が順に繰り返し、出来役が出来た方が勝ちになりますが、
まだ、他の役も出来そうな場合、勝負を継続するという意味で「来い来い」
と言います。これが、このゲームの名称の由来です。
そして、その出来役ですが、
五光(十点) 五枚の二十点札すべてを集める
四光(八点) 柳に小野道風をのぞいた、残りの二十点札四枚を集める
(柳に小野道風が入って四枚の場合、馬鹿四光といって、役にならないルー
ルと、雨入り四光といって、七点にするルールがあります)
三光(五点) 柳に小野道風をのぞいた、二十点札を三枚集める
(松桐坊主(まつきりぼうず)といって、松に鶴と桐に鳳と芒に月の組み合
わせしか認めないルールもあります)
花見酒(五点) 菊に盃 と 桜に幕 の二枚を集める
月見酒(五点) 菊に盃 と 芒に月 の二枚を集める
(花見酒と月見酒は、役とみなさないルールもあります)
猪鹿蝶(いのしかちょう)(五点) 萩に猪と紅葉に鹿と牡丹に蝶の三枚を
集める
赤短(五点) 松に赤短と梅に赤短と桜に赤短の三枚を集める
青短(五点) 牡丹に青短と菊に青短と紅葉に青短の三枚を集める
タネ(一点) どれでもよいから十点を五枚集める、以降、十点札が一枚増
えるごとにプラス一点
タン(一点) どれでもよいから五点を五枚集める、以降、五点札が一枚増
えるごとにプラス一点(五枚の中で、赤短または青短が成立していれば、そ
れも役としてカウントする)
カス(一点) どれでもよいからカス札を十枚集める、以降、カス札が一枚
増えるごとにプラス一点
というルールになります。また、親・ナカ・ビケの三人で、最初の手札は
それぞれ七枚、場に表向きに出して置く札は六枚として対戦するルールもあ
り、こちらは「花合わせ」と呼ばれます。三人で札を取り合うので、出来役
が成立しない場合も多く、その場合は、各自の手札の合計点で勝負を決めま
す。また、総八、フケ、素一などという、花合わせにしかない役もあります。
ただし、上記のとおり、役として認めたり、認めなかったりのローカルル
ールがありますので、初めてお手合わせする対戦相手の場合、よくルールを
確認しあっておく事が必要です。
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