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バトル・オブ・ブリテン

 第二次世界戦時、旧ソ連とナチス・ドイツに国土を蹂躙され、国家さえも失
った悲惨な歴史を持つポーランドは、今回のウクライナ危機においてウクライ
ナからの避難民をほぼ無制限に受け入れました。

 

 同じく第二次世界戦時、史上初にして史上最大といわれる航空戦でナチス・
ドイツの本土上陸を寸前でくい止めたことがある英国は、ウクライナへのレー
ダーや無人機を含む巨額の軍事支援を表明し、ウクライナ議会で演説したジョ
ンソン英首相は「ウクライナは勝利しなければならない」と訴え、「今こそが
ウクライナにとって栄光の時だ」とウクライナの人々を鼓舞しました。

 

 史上最大の航空戦について補足しますと、ダンケルクの戦いで何十万人もの
連合軍将兵の英国への撤収を許したナチス・ドイツは、英国を屈服させること
を決め、部隊の上陸を容易ならしめるため航空機による英国本土攻撃を開始し
ます。

 

 英国は戦闘機の数でナチス・ドイツに劣りましたが、すでに整備されていた
レーダー網とネットワーク化された航空管制及び指揮所間の連携で対抗。英国
空軍ともに戦った外国人パイロットの活躍もあってナチス・ドイツの英国上陸
計画を頓挫させました。

 

 これが世に言う「バトル・オブ・ブリテン」で、結果としてこの航空戦は第
二次世界大戦の重大な転機となりました。ちなみにこの航空戦で最も多くの敵
機を撃墜したのはポーランド人のパイロットだったそうです。

 

 バトル・オブ・ブリテンが始まる数週間前、本土防衛戦が避けられない状況
下で、時の英首相ウィンストン・チャーチルは議会で演説し「我々の生存はこ
の戦いにかかっている。それ故、我々は我々の責務を果たし、大英帝国がこの
先1000年続くのであれば、人々が今を振り返って『あの時こそ栄光の時で
あった』と言われるように振る舞おう」と国民に呼びかけました。

 

 これを踏まえてのジョンソン英首相の演説です。

 

 「存亡の危機だから団結して勇敢に戦おう」と言うのではなく、「人々が今
を振り返って『あの時こそ栄光の時であった』と言われるように振る舞おう」
と言葉をつないだのはチャーチルのスピーチの巧みさです。

 

 尚、バトル・オブ・ブリテンで勝利した後も大戦は続き、英国は何度も苦境
に立たされましたが、チャーチルは「絶対に、絶対に、絶対に、絶対に屈する
な」と鼓舞し続けました。

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