OPECプラス
OPECプラスは5日の会合で、11月からの原油生産量を日量200万バ
レル(世界の原油需要のおよそ2%に相当)減らすことで合意しました。
ちなみに「OPECプラス」とは、サウジアラビアを盟主とする石油輸出国
機構(OPEC)の加盟国と、ロシアを含む非加盟国で構成され、事実上、サ
ウジとロシアが主導する組織で、世界の原油生産の5割近くを握ります。
OPECプラスは、バイデン米大統領がサウジを訪問した後の会合で9月の
生産量を日糧10万バレル増やしたものの、10月には再び日量10万バレル
の減産。11月は2020年4月以来の規模で減産することになります。
サウジやロシアの原油生産の損益分岐点は1バレル=80ドル前後で、OP
ECプラスは90ドル超の価格維持を望んでいるとされます。
原油(WTI)価格は、ロシアよるウクライナ侵攻を受けて、3月には一時
1バレル=130ドル台にまで上昇したもののその後は低迷。9月には70ド
ル台にまで下げ、ウクライナ危機後の上昇を帳消しにしましたが、OPECプ
ラスの決定もあって今現在は80ドル台後半にまで戻しています。
ただ「日量200万バレルの減産」は、実際には受ける印象ほどの効果はな
いとの見方があります。
いくつかの産油国の原油の生産量は、割り当てられている量を大きく下回っ
ており、今回の新たな削減量もすでに順守している格好です。生産を減らす必
要がある国は限られるため、今回の決定に伴うOPECプラス全体の実際の削
減量は日量90バレルにも満たないとの試算があります。
また、中間選挙を11月に控え、一段の物価上昇を招きたくない米国は今回
のOPECプラスの決定に反発し、11月に戦略石油備蓄から1000万バレ
ルを追加放出すると表明しています。
尚、英BPが2021年の実績をまとめた資料によりますと、世界最大の産
油国は米国で、世界の原油生産量の約14%を占め、次いでロシアが13%、
サウジが12%のシェアを握り、世界で日量1千万バレル近くの原油を生産で
きるのはこの3カ国に限られます。
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